日本語

Codex Local の HIPAA 構成ガイド

保護対象保健情報を取り扱う可能性があるワークフロー向けに Codex Local を構成します

対象となる方

保護対象保健情報(PHI)を取り扱う可能性があるワークフローでは、このガイドに従って Codex Local を適切に構成してください。 Codex Local には、ユーザーのコンピューター上で動作する ChatGPT デスクトップアプリ、Codex IDE 拡張機能、Codex CLI が含まれます。

ChatGPT for Healthcare、ChatGPT for Clinicians、または Regulated ワークスペースを使用し、適用される OpenAI Business Associate Agreement(BAA)を締結している場合、OpenAI は Codex Local から受け取る PHI を BAA に従って取り扱います。OpenAI は、Codex の利用を通じて受け取るプロンプト、ファイル、その他の入力を安全に取り扱い、出力を安全に返します。

OpenAI とお客様の組織は、OpenAI サービスを保護する責任を共有します。ローカルワークステーション、ソースリポジトリ、ローカル保持、ローカル MCP server、Browser Use と Computer Use のアクティビティ、デスクトップアプリ、および Codex がアクセスできる Google Drive や GitHub などのサードパーティサービスを安全に構成する責任はお客様にあります。このガイドでは、これらのツールの構成方法について説明します。

責任の共有

多くのクラウドソリューションと同様に、クラウドサービスプロバイダーと顧客はコンプライアンスに関する責任を共有します。ChatGPT Enterprise は入力と出力を OpenAI クラウドに保存します。ユーザーのワークステーションには、Codex Local の入力と出力が保持されます。Codex はプロンプトやファイルなどの入力を推論のために OpenAI へ送信し、OpenAI は出力を返します。ChatGPT で認証された利用については、OpenAI は監査記録を最大 30 日間保持するため、Compliance API を通じて取得できます。OpenAI が ChatGPT Enterprise のデータや Codex Local のデータをトレーニングに使用することはありません。

ローカルワークステーションの構成、特にその TOML ポリシーファイルによって、ユーザーのマシン上で Codex が実行できる操作が決まります。これにより、Codex がファイルを読み書きできるか、コマンドを実行できるか、ネットワークアクセスを使用できるか、プラグインやコネクターを呼び出せるか、MCP ツールを呼び出せるか、ブラウザー画面を開けるか、ローカルのトランスクリプトを保持できるかが左右されます。これらの設定によって OpenAI の BAA 上の義務が変わることはありませんが、お客様の HIPAA セーフガードにおいて中心的な役割を果たします。このガイドでは、PHI の利用と保護に関する社内ポリシーに Codex Local を適合させるために使用できる設定について説明します。

OpenAI のセキュリティプログラム

OpenAI は、OpenAI サービスで処理されるデータを保護し、規制対象組織によるコンプライアンス義務の履行を支援するために設計された、エンタープライズ向けセキュリティプログラムを維持しています。

OpenAI は、エンタープライズリスク管理プログラムと、取締役会委員会への報告を含む正式なリスクガバナンス体制を運用しています。製品保証活動は、製品のリリース時にも暗号化、最小権限アクセス、詳細なログ記録といった HIPAA コンプライアンスを支えるセーフガードが維持されるよう支援します。製品リスク評価、統制の監視、コンプライアンスレビューは、お客様のデータに対して合理的に予測されるリスクを特定し、セーフガードの有効性を評価し、ChatGPT Enterprise、API プラットフォーム、Codex 関連サービスで使用される統制の継続的な改善を支援します。

安全な開発と CI/CD のセーフガードは、Codex 関連サービスへの変更によって不正アクセス、データ漏えい、整合性の問題が生じるリスクの軽減に役立ちます。これらのセーフガードには、制御されたソースアクセス、ピアレビュー、自動テスト、ビルドおよびデプロイワークフローでのセキュリティチェック、シークレット取り扱いの統制、監視されたデプロイプロセスが含まれます。管理されたソフトウェア提供プロセスが OpenAI のサービスレイヤーを支える一方で、ローカルリポジトリの衛生管理、ワークステーションのセキュリティ、ローカルポリシーファイルの構成で許可する動作については、引き続きお客様が責任を負います。

OpenAI の脆弱性管理プログラムには、継続的なスキャン、依存関係とインフラストラクチャのレビュー、重大度に基づくトリアージ、修正状況の追跡、修正の検証が含まれます。OpenAI はまた、社内外のレッドチーム、独立したセキュリティテスト、責任ある開示の窓口を利用し、セキュリティ上の弱点がお客様のデータに影響を及ぼす前に特定して対処しています。

データ保護統制には、転送中および保存時のデータ暗号化、ID とアクセスの制御、ロールベースの管理、ログ記録、ならびに該当する ChatGPT Enterprise または API 組織の設定に従う保持制御が含まれます。

Codex Local へのサインイン

OpenAI モデルを使用する場合、Codex は 2 種類の OpenAI サインイン方法をサポートします。サブスクリプションアクセス用の ChatGPT サインインと、従量課金アクセス用の API key サインインです。OpenAI は、適用される OpenAI BAA のもとで、どちらの方法についても HIPAA コンプライアンスをサポートします。

ChatGPT サインインでは、Codex の利用にユーザーの ChatGPT ワークスペース権限、ロールベースアクセス制御(RBAC)、ChatGPT Enterprise の保持設定およびデータレジデンシー設定が適用されます。API key サインインでは、ChatGPT ワークスペースの設定ではなく、その API key に関連付けられた OpenAI API 組織の保持、データ共有、管理設定が Codex の利用に適用されます。API key サインインは、信頼できる CI/CD ジョブなど、プログラムから実行する Codex CLI ワークフローで一般的に使用されますが、公開環境や信頼できない実行環境で API key を公開しないでください。

お客様の責任

Codex Local が動作するワークステーションについては、引き続きお客様が責任を負います。ワークステーションの構成、オペレーティングシステムのセキュリティ、ディスク暗号化、マルウェア対策、デバイス管理、パッチ適用、ユーザーアクセス、認証情報の安全な保存、ローカル保持などの統制を含め、ローカルでの Codex 利用について独自のリスク分析を完了してください。

Codex Local を使用できるユーザー、使用できるサインイン方法、アクセスできるワークスペース、API key でのサインインを許可するか、PHI を含められるリポジトリとフォルダー、Codex に外部サービスの利用を許可するかは、お客様が決定します。

有効にしたサードパーティサービスと、それらにアクセスできるユーザーについても、お客様が責任を負います。PHI を含む環境で Microsoft SharePoint、Google Drive、GitHub、またはその他のサービス向けのブラウザー接続先、プラグイン、コネクター、MCP server を組織が有効にする場合、そのサービスでの PHI 利用が組織により承認されており、適切な BAA または同等の医療向け追加条項が締結されていることを確認してください。OpenAI の BAA によって、別のベンダーが HIPAA 準拠の接続先になるわけではありません。

以降のセクションでは、requirements.toml ポリシー構成ファイルと関連設定を使用して HIPAA コンプライアンスを管理する方法について説明します。その他の設定については OpenAI のドキュメントを確認し、Codex の機能変更に応じて再確認してください。

Codex を有効にする

管理者向けセットアップ手順に従って、ワークスペースで Codex Local を有効にします。ワークスペースで Codex の HIPAA サポートを有効にするには、OpenAI のアカウントディレクターにお問い合わせください。

BAA は Codex cloud を対象としていません。PHI を Codex cloud で使用しないでください。

ロールベースアクセス制御を構成する

RBAC を使用して、Codex Local とその構成へのアクセスをカスタマイズできます。たとえば、PHI を取り扱わないユーザーには比較的制限の少ない構成を割り当て、PHI を取り扱うユーザーにはこのガイドの構成を割り当てることができます。ChatGPT の管理者向け権限とロールのページから、組織全体の Codex Local へのアクセスを制御します。特定のユーザーのアクセスを制御するには、グループを作成して、そのグループの権限を編集します。

プラグインとコネクターを確認する

Codex Local はプラグインをサポートしており、プラグインにはコネクターとスキルを含めることができます。コネクターを使用すると、サードパーティのデータソースとデータをやり取りできます。コネクターを含むプラグインを有効にする前に、そのコネクターを通じてデータを受け取るサードパーティとの BAA が必要かどうかを判断してください。スキルは、ポリシー構成の範囲内で動作する指示です。他のスクリプトと同様に、目的に適していることを確認してください。

ユーザーがプラグインを使用できるようにするには、ワークスペース管理者がプラグイン制御を通じてプラグインを利用可能にし、さらにそのコネクターを個別に有効にする必要があります。コネクター設定でコネクターへのアクセスを構成してください。

管理対象の要件とデフォルトを構成する

TOML 構成ファイル内の要件と管理対象デフォルトによって Codex の動作を管理します。ローカルワークステーションでは、ユーザーレベルの構成が ~/.codex/config.toml に保存されます。CLI と IDE 拡張機能は同じ構成レイヤーを共有します。ユーザーが上書きできない管理者適用の制約を設定するには、requirements.toml の管理対象要件を使用します。OpenAI は、PHI のデータ取り扱い要件を適用するために管理対象構成を使用することを推奨しています。

管理者は、requirements.toml 互換の構文を使用して Codex のポリシーページでクラウド管理の要件を構成できます。また、macOS MDM などのデバイス管理を通じて要件を配布することもできます。Codex は、クラウド管理の要件、macOS MDM の要件、システムの requirements.toml の順で要件レイヤーを適用します。各フィールドについて、先に適用される要件が優先されます。

管理対象デフォルトは要件とは別のものです。Codex の起動時に使用する初期構成を設定しますが、ユーザーはセッション中にそれらの設定を変更できます。Codex は次回起動時にデフォルトを再適用します。管理対象デフォルトは標準化に使用し、厳格なコンプライアンスの強制には使用しないでください。たとえば、デフォルトのモデル、権限プロファイル、その他の推奨するローカル動作を設定できます。PHI ワークフローで回避不能にする必要がある設定は、デフォルトではなく要件に指定してください。管理対象デフォルトでは、macOS MDM の管理対象設定が最も優先され、次にシステムの managed_config.toml、その次にユーザーのローカル config.toml が適用されます。

次の表は、Codex Local の構成に利用できる一部の設定をまとめたものです。これらの設定と参考資料のリソースを確認し、コンプライアンス要件に沿うよう Codex Local を構成してください。

統制 設定 説明
サインイン方法 ワークスペースで管理される PHI ワークフローには ChatGPT サインイン、承認済みの API BAA ワークフローに限り API key サインインを使用します。 ChatGPT ワークスペースの統制と API 組織の統制のどちらが適用されるかを決定します。
ワークスペースの固定 forced_login_method = "chatgpt"
forced_chatgpt_workspace_id = "<workspace-id>"
管理者が ChatGPT サインインを必須とする場合に、PHI ワークフローを承認済みワークスペース内に維持します。
承認ポリシー allowed_approval_policies = ["on-request", "untrusted"] レビューなしで Codex が高リスクの操作を実行することを防ぎます。
承認レビュー担当者 allowed_approvals_reviewers = ["user"] サンドボックス境界を越える操作を、自動レビュー担当者ではなくユーザーが承認するよう求めます。
権限プロファイル default_permissions = ":workspace"
:read-only:workspace のみを許可します。
読み取り専用またはワークスペースに限定した作業を許可しつつ、デバイス全体へのアクセスを防止します。
Web 検索 allowed_web_search_modes = ["cached"] 検索をキャッシュ済み結果に限定するか、無効にします。ライブ Web アクセスには承認済みの構成が必要です。
ブラウザーおよび Computer Use 機能 computer_usebrowser_usebrowser_use_full_cdp_accessin_app_browserfalse に設定します。 ユーザーが PHI を Web サイトやデスクトップアプリにコピーする可能性を低減します。
MCP server デフォルトでは [mcp_servers] を空のままにし、正確に特定された承認済み server だけを許可リストに登録します。 デフォルトでローカル MCP サービスを無効にします。承認済みの server またはコネクターだけを追加してください。
ローカル履歴とプラグイン 必要に応じて [history] persistence = "none" を設定します。承認済みグループに限りプラグインまたはコネクターを有効にします。 ローカルのトランスクリプト保持とサードパーティの BAA レビューに対応します。

requirements.toml のスターター構成

OpenAI は、ChatGPT Enterprise および Regulated ワークスペース向けに、前の表にある設定の一部を使用したスターター構成を提供しています。構成の配布方法としてクラウド管理の要件を使用する場合は、Codex のポリシーページでこのスターター構成を確認し、特定の RBAC グループ向けに上書きしてください。

この構成は、通常の監督下にある Codex Local の作業を許可しながら、不正なデータ流出を抑えます。展開前に確認して調整してください。次の 2 つの例は、一般的なワークフローをサポートするために構成を調整する方法を示しています。

権限プロファイルの許可リストには Codex 0.138.0 以降が必要です。管理対象のすべてのクライアントがサポート対象バージョンを実行していることを確認してから、この例を展開してください。

# Starter requirements.toml for Codex Local use with PHI.
# Review and adapt this policy before rollout.

allowed_approval_policies = ["on-request", "untrusted"]
allowed_approvals_reviewers = ["user"]
allowed_web_search_modes = ["cached"]

default_permissions = ":workspace"

[allowed_permission_profiles]
":read-only" = true
":workspace" = true

[features]
computer_use = false
browser_use = false
browser_use_full_cdp_access = false
in_app_browser = false

[mcp_servers]
# None allowed by default.

例 1:Google Drive プラグインを有効にする

データフロー、OAuth スコープ、アクセス制御、サードパーティの BAA 対応状況を確認したうえで、承認済みグループに限り Google Drive を有効にしてください。OpenAI の BAA は OpenAI による PHI の取り扱いを規定しますが、PHI の受領者または保持者としての Google を自動的に対象とするものではありません。

Codex は、コネクター設定に apps 構成キーを使用します。この例では、そのキーを通じて Google Drive コネクターを有効にします。

# Example config.toml change for a group approved to use
# the Google Drive connector with PHI, after legal and security review.

[features]
apps = true

[apps.google_drive]
enabled = true
destructive_enabled = false
default_tools_enabled = true
default_tools_approval_mode = "prompt"

[apps.google_drive.tools."files/delete"]
enabled = false

破壊的な操作はデフォルトで無効にし、コネクターツールを使用する前にプロンプトを必須にし、RBAC グループでアクセスを制限し、利用可能な場合はコネクターのアクティビティについて Google Workspace の監査ログを確認してください。

例 2:GitHub をローカルで使用する

ローカル開発では、多くのチームが開発者のワークステーションから Git または GitHub CLI を使用します。これは Codex cloud とは異なります。リポジトリ、issue、pull request、コメントに PHI が含まれる可能性がある場合は、この経路を有効にする前に、そのデータについて組織が GitHub 環境を承認していることを確認してください。

# Example requirements.toml addition for local GitHub use.
# This doesn't enable Codex cloud. It keeps repository actions reviewable.

[rules]
prefix_rules = [
  { pattern = [{ token = "git" }, { any_of = ["push", "commit"] }], decision = "prompt", justification = "Require review before changing repository history." },
  { pattern = [{ token = "gh" }], decision = "prompt", justification = "Require review before using GitHub CLI." },
]

このポリシーは GitHub の利用を禁止するものではありません。Codex がリポジトリ履歴を変更したり、GitHub CLI コマンドを使用したりする前に、レビューの機会を設けます。

オプション:審査済みの GitHub MCP server を使用する

チームがローカルの Git コマンドだけでなく GitHub MCP server を使用する場合は、承認済み server の正確な ID を許可リストに登録し、ツールを承認済みの最小セットに制限してください。

# Optional: allow a vetted GitHub MCP server.
# Use the exact approved server identity for your environment.

# requirements.toml
[mcp_servers.github]
identity = { url = "https://github-mcp.example.com/mcp" }

# config.toml
[mcp_servers.github]
url = "https://github-mcp.example.com/mcp"
enabled = true
default_tools_approval_mode = "prompt"
enabled_tools = ["<approved-read-tools>", "<approved-pr-tools>"]

実践的な展開手順

  1. 承認するサインイン経路を選択します。 ユーザーが ChatGPT で Codex Local に認証するか、API key を使用するか、または別々のワークフローで両方を使用するかを決定します。
  2. OpenAI との BAA を確認します。 承認したサインイン経路について、OpenAI と BAA を締結していることを確認します。ChatGPT ワークスペースで Codex の HIPAA サポートを有効にするには、OpenAI のアカウントディレクターにお問い合わせください。
  3. Codex Local を有効にして RBAC グループを定義します。 Codex Enterprise の管理者向けセットアップを使用して Codex Local を有効にし、少人数の Codex Admin グループを作成して、Codex Users や Codex PHI Users などの RBAC グループを通じて Codex へのアクセスを割り当てます。
  4. 管理者適用の requirements.toml と管理対象デフォルトを展開します。 クラウド管理の要件、MDM、またはシステム構成を使用して、PHI ユーザーにスターターポリシーを適用します。権限プロファイル、承認ポリシー、Web 検索モード、機能の固定、ネットワーク要件、コマンドルール、MCP 許可リストを構成します。
  5. 承認とサンドボックス境界についてユーザーをトレーニングします。 エージェントの承認とセキュリティを使用して、Codex がサンドボックス内で操作できる場合、承認を求める場合、およびネットワーク、ファイル転送、リポジトリへの書き込み、サードパーティのコネクター操作をユーザーが確認すべき理由を説明します。
  6. PHI で使用する前にサードパーティのプラグインを確認します。 Google Drive や GitHub などのコネクターを含むプラグイン、ブラウザー接続先、MCP server を有効にする前に、PHI を受け取るサードパーティを組織が承認しており、その当事者との適切な BAA が締結されていることを確認します。
  7. 展開を追跡、確認、更新します。 Compliance API のエクスポート、ワークスペース分析、エンドポイントログ、プラグインと接続サービスの監査ログ、リポジトリの監査ログを使用し、展開した状態が社内ポリシーに継続して適合していることを確認します。

参考資料